前回テーマの続きということで、環境変化における学びの後編を書かせていただきます。
転勤妻を経験しての学びですが、秘書の仕事でも視野が広がった気がしています。ご参考になれば幸いです。
3 謙虚と柔軟さ
皆さんが想像される駐在員の妻というものは、華やかなものかもしれません。もちろん日頃のストレス解消のための奥様ランチ会もあります。ですが、現地で安全に生活するための情報交換会の目的も多いにあるのです。
私も先入観を持っていたのでその集まりがミーハーに思えてしまい参加が苦手でした。ですがこういう集まりやお互いになるべく近い場所に住む理由、要はリスクヘッジについて教えてもらい、自分のくだらない先入観と視野の狭さを反省しました。
助けが必要な自分の弱さを認める余裕や柔軟な心を持つことは、とても大切です。助けを求めることで相手にも敬意を払っていることにもなり、知らず知らずのうちに人間関係も良好に回るようになります。
自分の考えや信念を強く持つことは大事ですが、自分は未熟だという事を念頭におくこと、謙虚で柔軟な思考を心がけるようにしていると視野や知見も広がっていきます。
4 リスクへの危機管理
海外では生活するだけでトラブルが絶えません。家の中だけでも電気系統は弱いし、何かあればすぐに断水、水漏れもしょっちゅうです。もう驚きもしません。
修理に時間がかかるのも毎度の事。なので停電用のバッテリーを用意しておいたり、断水は2日治らなければホテルに泊まる、など代案のB案を常に用意しています。
このような生活をしているので、日常でも想像力が豊かになりました。
例えばタクシーで運転が荒いドライバーだった場合、頭の中で事故回避のシュミレーションしてみたり、向こうから歩いてくる人がフラフラしていたら危険を察知してすぐ別道へルート変更したり。また、ビジネスでの衝撃の最悪事案が起こったりしている事を聞くと、映画か何かのように思えて驚きます。
このびっくりの最悪が傍にある環境で、注意力と対応力が鍛えられてきました。
個人的な考えですが、「堂々」とすることもリスクマネジメントの1つだと思います。
以前、パリの地下鉄でスリにあったことがあります。結局未遂だったのですが、思わず逃げた女の子を追いかけてしまいました。咄嗟に関西弁でパリジェンヌを問い詰め、相手がひるんでいる間に開けられたバッグの中身が無事ということを確認。最後まで英語も仏語も使わずに終わりました。相手が若い女の子だったから、このような事ができたのですが。
この件イギリス人英語の先生に言われたこと2つ。スリにはバックがいるから追いかけたのは危険。でも得意の日本語でまくし立てたのは大正解。毅然とした態度を見せることがいちばん大切だから、とのこと。
毅然とする=堂々とする、これは自信がないとむずかしいですよね。
ですが逆の発想で、堂々と見せることで、自信があるようにブレない芯の強さを表わすことができると思うのです。
スマートな立ち居振る舞いとハキハキと話すこと、それが相手に堂々としている印象に見せることに繋がるのだと思います。
実はそれには見た目も重要だと思うのです。例えばシャツにアイロンがかけてあったり、靴がきれいに磨かれていたり。服のお手入れがしっかりされていて清潔感があり、姿勢も背筋が伸びていると堂々とした印象を与えるのです。
わかっていても焦ってしまうので、悠然と構えるようになることは私の目標です。
5 まとめ
環境が変わると人間関係も一から作らなければならないし、またその場に適応できるかの不安もとても大きくストレスを抱えてしまいます。
だから私は発想を変えてみました。
人間関係を作らなければならないことはないし、その場に適応できなくても良いのです。合う人なんて世の中そんなにいないのが当たり前です。そこにいなければ仕方ない。適応できる時間も人によって違うし、合わなければ別の場所へ変わればよいのです。
そう思って過ごしていたら、いつの間にか学びが増えていたり、友達もひょっこりとできていたりするものです。私もそうでした。
変化には過度に気負わず、後々で結果が付いてくると思うくらいで向き合いましょう。