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ファーストテイクに関する勘違いというお話

Gotoです。

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 ちょっと前に話題となった「THE FIRST TAKE(以下 ファーストテイク)」について、少々お話をしてみようかと。

 さて、このファーストテイク、「白いスタジオに置かれた一本のマイク。 ここでのルールはただ一つ。 一発撮りのパフォーマンスをすること。」という説明があるだけでその他の細かなことは書かれていません。ですので、プロジェクトの名前のとおり最初の1テイク目を視聴者に動画や音楽配信で提供するという形のものであり、このプロジェクト用にアレンジされたバージョンが用意されるというので、ファンにとっては嬉しいという企画であります。

 と、表面上の概要をご紹介しましたが、多くの人が最初勘違いしたのが「一発録り、無加工でこれはすごい!」という現象です。結論から言えばそんなことはあるはずもなく、そもそも運営もそんなことは一言も言っていません。あくまでも1曲を1発録り(通し録り)した作品という位置づけでしかなく、補正も編集もするわけです。昨今のレコーディングがパートパートをバラ録音してあとでつなぎ合わせるという工程を踏んでいますから、それの対比として通し録音の1発録りはたしかにミュージシャンの技量も必要になりますし、それはそれですごいというのは事実です。

 日本人はなぜか「生歌唱・無加工」を異常にありがたがる風潮があり、かの大晦日のアレで録音済みのオケを使うようになったのは他の放送局に比べてずいぶんと後だったのはわりと知られていない事実だったりします。(クチパクというパフォーマンスも日本人嫌いですよね)

 さて、そのようなユーザー背景をうまく利用し話題となったファーストテイク。そもそも実力があるミュージシャンがやると話題になりましたが、その後それほど話題にならなくなってきました。この手のもの最初だけで後が続かないというのも音楽業界の伝統芸ともいうところですが、やはりそもそもがユーザーの認知をある意味で悪用した企画であったこともユーザー離れを起こした要因なのかもしれません。

 昨今のエンタメコンテンツは消費が早いという背景ももちろんありますが、それでも長く楽しまれるものもあるわけで、企画をどのぐらいの寿命と考えて送り出すのか?はビジネスシーンにおいてもとても大切な要素であると考えており、本日はその題材として本件をお話させていただきました。