このコラムは壮大な地続きのストーリーですので、前回のまでの記事を先に読んでいただくと流れがわかりますので是非どうぞ。
札幌営業所長を本社の窓際に飛ばすことで、
所長イビリによって病気になって辞めてしまった先輩事務員さんの敵討ち。
なかなか高度なミッションをコンプリートした吉井少年が次に向かったのは、
「輸入自動車販売業者」でした。
というお話。
当時MINIクーパーに乗っていた吉井少年。(もう青年かな)
どうせなら好きな自動車の業界に入りたい。
なんなら、国産車ではなく輸入自動車が良いよね〜。
でもドイツ車は好きじゃないんだよね〜。
自動車はやっぱりヨーロッパですよ。
ありました。英国ローバー車を販売している代理店が。
この局面でも面接は一発で通ってしまいます。
(まあ、自動車の営業なんていつでも人不足だから)
先に伝えると、この仕事は1年と3ヶ月で辞めてしまいます。
理由は簡単。
好きなことを仕事にしちゃいけない(笑
日本人は、世界でもTOPクラスの自動車であるトヨタ・ホンダを知っているのです。
なにせ壊れない。不具合が無い。
毎日雨風をうけ、ろくに整備されていなくても
10万キロあっさりと走っちゃうのを「当たり前」だと日本人は思っています。
が、これ普通に考えて驚異的じゃない??
そんな人を相手に売る輸入車は、「The クレーム対象」なのです。
オイルが漏れる。ブレーキが鳴く。これは結構普通。
だって、日本に届いた時にブレーキディスクが錆びてるとかも普通。
ヒューズが飛んでライトが消える、警告ランプのエラーで点きっぱなし。
※25年前ですよ
クルマ好きは、「直せばいいじゃん」と思ってくれますが、そんなのマイノリティ。
うまいこと言いくるめて買ってもらった挙げ句、
クレームとも言い切れないクレームを受けながら新車の販売ノルマを与えられるわけです。
そんなの嫌いになるって(笑 って話です。
営業成績も、前職からの吉井から察する通り、大した売ってません。
でも、学んだことは大きかったかもしれません。
勘違いした認識の人に、輸入車に夢やあこがれを載せて売るという手法ですから。
今のSNSやWEBでの購入衝動とはちょっと違うですね。
欲しい人が見に来るのは日常茶飯事ですが、見るだけの人も多いし、
走れば良いって感覚に、ちょっとしたカッコつけや優越感を求めて来るケースもあったり、
会社の経費にしたいからうまい数字合わせも必要だったりと、
お客さんがどのカテゴリーなのかを見極める、
ヒアリングするという能力も必要でした。
それが当時は理解できていなかったので、売れなかったのでしょう。
経費で落とす??ん?って感じでしたし。
人間は経験しないと、新たな知識は身体に入ってこないんだということなのでしょう。
これから独立を考える人も、今の仕事が嫌だから辞めタイ。
というマインドもあるかと思うのですが、
一度見る角度を変えてみませんか?
すごい嫌な業務だったとしても、それは貴方が経験したからわかること。
その経験は、今後の貴方の血となり肉になっています。
無駄なことなど一つもありません。
嫌な思いをしたなら、同じ思いをしている人の気持が理解出来るってもんです。
いい思いをしたなら、それを人にもしてあげれば喜ばれるでしょう。
そのために、貴方に起こっていることは貴方に必要な経験であり、
貴方の周りの人へ経験談として伝え、理解してあげることが出来るのです。
そして、ここで出会った先輩たちとは今でも交流があるということも、
自分を育ててくれたからこそなのかも知れません。
とても大切な1年と3ヶ月でした。