Gotoです。
本日は、「体感的には素晴らしいのに結果がでない」というようなお話を少々。
社内システムなどを構築する際にUI/UXデザイナーと依頼者が散々ディスカッションをし、
設計→テストをして作り込んだものが、実際導入してユーザーの手にわたってみると、
作業効率が逆に悪くなるというようなお話を聞きませんか?
これが「良いフィーリングは必ずしも良い結果を生まない」という表題の現象です。
人間の体感というのは、必ずしももっとも速く動くものや、
効率のよい順序を気持ちよいと感じるのではなく、
「ほんの少しの待ち」であったり、
「無駄な動きを感じること」を気持ちよいと感じてしまうことが多々あるのです。
なお、この現象を逆手にとったのが初代から数代に渡るApple社のiPhoneです。
当初のiPhoneはハードウェア的にかなり非力で、マシンの反応どおりに画面を表示すると、
とても遅くなってしまうという部分を、「ちょっとした待ちをわざと作る」、
「処理遅延に無駄な演出を入れる」などの人間の体感で「気持ちよい」と感じる要素を
入れることでハードウェアの非力さを補って、
ユーザーの共感を呼び大きなムーブメントを起こすものとなりました。
しかし、ハードウェア処理の観点で見れば、決して速度があがっているわけでもなく、
ユーザーの操作時間も短縮されていません。
これは後年、ハードウェア能力があがってきたことにより、
Apple社がそうした演出を排除してきたことからもわかるところです。
さて、最初の話も戻しますと散々作り込んだシステムが現場で不評な理由は、
ビジネスシーンではこの「待ちや演出」をするぐらいなら、
速く処理が終わってほしい!というのがユーザーニーズだからです。
特に昨今、ハードウェアパワーが足りないという場面はほぼなくなり、
上記のような手法があえて必要な場面が減ってきているにも関わらず、
開発中にはどうしても人間の体感によるジャッジをしてしまうため、
このような悲劇が起こるという訳です。
本日のお話が今後の皆様の業務改善に役立てば幸いです。