これまで色々と秘書職について書いてきましたが、現実問題として秘書は要らないという人も増えてきています。
スケジュール調整はシステムに条件を入れれば簡単に出来るし、名刺や顧客データもシステムへスキャンしておけば管理してくれる。社内での情報共有も簡単にできる。
AIに代替される職種ランキングでは、秘書は2位だそうです。
このコロナ禍でリモートワークが増えて、対面で依頼する事がむずかしい状況も、秘書職の必要性への疑問視が加速する一因かもしれません。
今後ますます様々な職種がAI化される中、生き残れる秘書になるには何がポイントか、思う事を綴りたいと思います。
1、なくなる秘書業務
AI秘書の進出によって、無くなる秘書業務と残る秘書業務とは何か考えてみました。
◆なくなる業務
スケジュール管理
資料とデータ管理
出張手配、会食手配、コスト管理等
◆残る業務
イレギュラー事案への臨機応変な対応
個別の用事
確認連絡
上記を見てもわかるように、定型業務はAIに取って代わられると思います。データ管理はシステムに任せた方が正確ですしね。
出張や手土産、レストラン予約等の手配も、経費精算システム上で条件さえ入力すれば行えるようになる方がコスト管理出来ますし効率的でしょう。
残る業務は、一言で言えば頭脳を使う業務ですね。
秘書が担うことが多い今のオフィスワークには定型的業務がとても多く、身体的にも精神的にも圧迫されている気がしています。なのでそこをAIで自動化してもらえるのであれば、実は今より人間らしい働きやすい環境に近づくのではないかなと思います。
2、秘書がAI化される順序
では、一旦秘書がAI化していくと仮定して、ではそれは少しづつ順序を追って進んでいくのではないかと考えています。
具体的に申しますと、部長クラス秘書→事業部長クラス秘書→役員クラス秘書→社長クラス秘書。
結局は役職が上位であるほど生き残るのではないかと、私は予想します。
理由は、ボスのステータスが上がる毎に社外でも役割が増えて多岐に渡る活動になるため、AIだけでは対応が追いつかない。
残念ながら、今後はこうやって秘書の人員が減っていくような気がします。
だけどシステムを作るのも使うのも人です。上手に利用して時間も効率的に使う。
余った時間で新たな創造もできますしね。
誰がやっても同じと思われない、人間の独創性や創造性、価値が発揮される働き方になるだけです。悲観するような悪いことばかりではないと私は思います。
秘書って、いてくれてありがとうって思って貰えると嬉しいですよね。
今、私はメキシコに住んでいます。
公用語はスペイン語で、英語はほぼ通じません。
そして生活の上でのトラブルは日々多発。水が出ない、ガス停まる、インターネット使えない、水漏れ、カード詐欺等々。本当に多いです。
重いショックは受けないようにはなりましたが、解決するときの労力には慣れません。言語だけではなく文化の感覚違いもあるので、毎回ぐったりします。
それが、最近は会社の秘書さんが対応してくれるので、とても助かっています。
何でもパパっと対応してくれるメキシコ人の秘書さん、仕事もやはりできるそうです。
ボスの家庭内トラブル対応なんて面倒な仕事を引き受けてくれる。
私達がスペイン語ネイティブでないことを考慮してくれての事ですが、彼女が秘書さんで良かったといつも思っています。
秘書に必要な人間力って、単純にこういう事なのかもしれませんね。
もちろん経営の相談なども引き受けられるような秘書になれるよう、知識を勉強することも良いと思います。
ですが、AIが出来ないことへ特化するのも手です。
AIは人間のように気配りをしたり、空気を読むといった感覚的なことは苦手としています。これはAIにとってはものすごく難しいことで、現在も人工知能が抱える問題として根強く残っているそうです。
AIにはできない秘書の業務は、簡単に言うと対人間として創造性のある仕事。
要するに、今後生き残れる秘書に特に必要なのは、人間力なのではないでしょうか。
3、人間力
秘書には人間力が必要だと上記にあげましたが、それはただ仕事が正確で早いだけではなく、個々の相手の思いや状況を察したり、想像したりして先回りすることもしなければならないから、という事です。
先回りするには、経験値も知識力も必要になってきますし、そしたらやっぱりこれは人間力なんですよね。
別に経験ないからダメとかじゃないんです。いくら経験積んでても同じ失敗する人はいるし。
だけど秘書には、地に足をつけた現実的な根拠ある発想が大切。その発想には、知識や教養がトータル的に必要になってくるのではと思います。
客観的な俯瞰する視点があり、発想力もある。
これって、秘書というより人として魅力的ですよね。
なので、秘書はトータル的に人間力を高くすることを目標にすれば良いのではないかなと思うのです。
気になることがある。web検索した方が早いけど秘書に頼んだ方が間違いないかな、と思ってもらえる信頼感。
これも人間力だと思うのです。
まとめ
結論、秘書という職種はなくならないけれど、業務内容はどんどん変わっていくと思います。
状況や環境の変化に柔軟に対応できる人間力をつけること、これがこれから生き残れる秘書の大きな課題といえるのではないでしょうか。
最後に本連載はこれで一区切りとなります。長らくお付き合いいただきありがとうございました。
またの機会を楽しみにしております。