前回、分析の基本の『き』となる部分を記しましたが、今回は分析のフレームワークに関して、特にデータ分析を中心に見ていこうと思います。
■クラスター分析
データの分析手法で最も有名(?)なのはクラスター分析ですかね。大きな集団の中から、似たもの同士を集めてグループに分ける統計的な分析手法になります。しかし、ここで注意なのはグループ分けを行うのに性別や年齢層など明確な基準を持ったデモグラフィックに基づいた分類はクラスター分析と呼べないので注意が必要です。ここでのグルーピングは例えば購買傾向、来店頻度、滞在時間などのグルーピングになります。それにより、顧客層の特性だったり、店舗の商品構成、商圏の特性、ブランドのポジショニングなど分析に用いられるケースが多いです。例えば、購買傾向でグルーピングを行なって、クラスターを分類してみると、それぞれに特徴が出てくると思います。その特徴に合わせて命名すると具体性が出てわかりやすいでしょう。
例えば、Aという商品の購入頻度が高いクラスターとBという商品の購入頻度の高いクラスターがあるとしましょう。命名としてはクラスターAとクラスターBにしましょうか。クラスターAはついで買いが多く、クラスターBは大量購入する傾向が見られれば、クラスターAに対しては新商品をお勧めして、クラスターBに対しては大量購入を促すような施策が考えられるのです。
クラスター分析は、みなさんも無意識で行なっているのではないでしょうか?色々な視点があると思いますが、日常生活でも様々なグルーピングをしていると思います。その人数が大きな規模で行うのがクラスター分析になります。
■RFM分析
クラスター分析をより購買行動に即した分析のフレームワークとしてRFM分析があります。顧客のグルーピングの軸を「Recency(直近いつ購入したか)」、「Frequency(購入頻度)」、「Monetary(購入金額)」の3つの指標で分け、それぞれに施策を考える分析手法になります。Recency、Frequency、Monetaryそれぞれの頭文字をとってRFM分析と呼びます。「Recency(直近いつ購入したか)」は購入データから、顧客毎に最終購入日によってグルーピングします。最終購入日が直近であれば有料顧客と判断します。
「Frequency(購入頻度)」は購入頻度でグルーピングを行います。単純にキチンとリピーターになってくれているかを確認するのはもちろん、売上の大半がリピーターであれば、新規顧客の獲得ができていないと判断できます。「Monetary(購入金額)」は累計の購入金額によってグルーピングを行います。
これらのグルーピングにより、新規顧客、休眠顧客、継続顧客、優良顧客などに分けることができると思います。
新規顧客に対しては、継続顧客になるような施策であったり、継続顧客を有料顧客にステップアップしてもらうような施策、休眠顧客は再度購入を促すような施策を行うようにそれぞれのグループに対して有効な施策を行えるようになります。
■コホート分析
コホート分析とは顧客をある特定の条件のもとでグルーピングして、それぞれのグループがどのような行動をとったのか分析する手法です。時間軸でグルーピングしてサービスの利用の継続率を計測したりします。また、流入経路毎にグルーピングしてプロモーションの手法の判断に使ったりとします。こちらは私個人的によく使いますし、Google Analyticsにも実装されているので使ったことが多いかもしれません。
そもそも、コホートとは「同じ時期に近しい経験をしている人々のグループ」を指す言葉で、もともと心理学や社会学で使われており、世代や社会的な経験によってグルーピングして、行動や意識にどのような変化が表れるを計測し分析する手法になります。マーケティングにおけるコホート分析は顧客を属性や条件でコホートに分け、顧客の動向を知るための分析方法になります。
施策の良し悪しや継続率、プロモーション手法の評価、LTVなどコホート分析から導き出し、施策の評価や見直しなどに用います。
私はよく使うのは、サービスの利用開始のタイミングと流入経路毎でグルーピングを行い、流入経路とサービスのマッチング、ついで、流入経路とプロモーションでの訴求内容とのマッチング、流入経路とサービス内の施策のマッチングなどを分析し、CPAとLTVのバランスの最適化を行います。
■アトリビューション分析
アトリビューション分析はWebマーケティングならではの分析方法になります。Webマーケティングの世界では成果に直接結びついた、いわゆる「ラストクリック」での評価が主流となっていましたが、その他の広告がいかに成果に貢献しているのかを成果に至るまでのすべての接触履歴を解析して、成果への貢献度を分析する手法になります。こちらもコホート分析同様、Google Analyticsにも実装されています。
成果に繋がった顧客が最後に接触した広告だけを評価しがちで、成果に繋がりやすい広告への投資を増やし、成果に繋がりづらい広告への投資を抑え、費用対効果を改善していくでしょう。このままでは、いわゆる焼畑農業的に刈り取るだけのプロモーションになってしまいます。しかし、商品やサービスを知ってもらうためのきっかけとなっていた広告や施策は評価されることなく、新たな顧客との接点をなくし、結果として成長が停滞するでしょう。そこで、商品やサービスを知ってもらうきっかけを作っていた広告や施策を実施する必要があるのですが、どの様に評価すべきでしょうか?その課題を解決すべく第三者配信を用いたアトリビューション分析ができました。
第三者配信とは、第三者が提供するアドサーバーを用いて広告を配信する仕組みのことです。広告主は複数の媒体社に入稿することなく、一括管理でき、また、複数の媒体やDSPにまたがった配信でも統一した基準で計測が可能になります。
例えば、動画広告、バナー広告、リスティング広告に出稿したとしましょう。今までは、動画広告から直接結びついた成果、バナー広告から直接結びついた成果、リスティング広告から直接結びついた成果として、それぞれ効果測定を行い評価を行なっていましたが、当然、動画広告やバナー広告から直接成果に結びつくことは少なく、リスティング広告から結びついた成果が最も多いでしょう。では、動画広告やバナー広告が成果に影響与えなかったのでしょうか?第三者配信を通じて見ると、動画広告、バナー広告に接触して、リスティング広告で成果に繋がっているのが見えてくるのです。これらを踏まえ、動画広告、バナー広告、リスティング広告それぞれの貢献度を評価する手法になります。
上記が、Webマーケティングの中のプロモーションでよく使う分析のフレームワークになります。課題に対して、様々な分析手法を用いて原因を導き出せるように、日常的にデータを取りまとめておけば、いつでも分析できるようになるでしょう。