前回、DXとは『ITとデータ活用による企業のアップデート』と申しましたが、DX具現化の為には幾多の障壁が待ち構えています。
今回は、その障壁をまず見ていきましょう。
■スタートラインに立つ前の壁
まずは、DXが経営層に理解されないケースです。
経営層がDXの本質を理解せず、ただのIT化としか上っ面だけしか理解していない場合が多いでしょうか?
色々なケースが考えられますが、IT化=コストの上昇と捉え、経営リスクと考えてらしゃる経営層に対しては、明確なリターンの様々な事例を提示し、議論を繰り返し経営層にDXの概念に共有して共感してもらうのが必要な作業になるでしょう。
そもそもDXに対して興味がない場合、知らない場合も十分にあり得るでしょう。
単に知らない場合は、概要を説明しリスクとリターンを提示し、議論を繰り返せばいいですが、経営層がDXに興味がない場合が最も危機感を持つ必要があるでしょう。
興味がない=自分ごと化していないと捉えると、ワークライフバランスに興味がない、企業としての成長を考えていないと考えられます。
この様な状況の場合、改めて、ワークライフバランスの重要性を訴える必要があると思います。
DX化促進に関して最も重要なのが経営層にDXとは何かを自身の言葉で全社員に伝わる言葉で伝えられるか?
DXによって会社がどの様な収益体制になり、どの様なワークライフバランスになり、5〜10年後の企業としての想像図を宣言してもらいましょう。
そして、その想像図を元にロードマップを作りましょう。
もちろん、ロードマップ通りに進むことは少ないと思いますが、全社員の意志の方向を整える為にロードマップを発表しましょう。
■スタートラインに立つ
さて、DXの本質を経営層に理解してもらい、経営層からDX化にGoサインが出て、DX推進部が立ち上がり、順調に進んでいる様に見えて進捗が鈍い、最悪の場合、機能していないケースも多々あります。
よくある例として、情報システム部を「情報システムDX推進部」に名を変えて、いよいよDXを推進に力を入れた様に見えて、実際は以前の情報システム部と業務内容が変わらず、DXが進まない場合が見受けられます。
原因として考えられるのは、「そもそもの人員が足りていない」、「課題が多すぎて、どこから手をつけるべきか悩ましい」など様々あると思いますが、一旦業務の棚卸などして課題を整理し、情報システム部と兼任であれば、自分の部署からDXの推めましょう。
次に、実際に業務見直しを行い、ツールを導入して満足して終わるケース。こちらの場合は効果の計測を行えばいいのです。
何かしらの指標を持ってツール導入を決定したと思いますが、ツール導入後、ツールに慣れた頃に改めて指標を計測し、実際に使用している方々にヒアリングを行いましょう。
ツール導入直後の計測も重要ですが、1ヶ月後、3ヶ月後と効果の計測を行い、改めて改善すべき点を洗い出し、業務効率化を進めればいいのです。ツール導入がゴールではないのです。
似た様なケースで、ツールのトライアルだけを繰り返すだけで、何も変わらないケースは、短期間で効果が出るようなツールは少ないので、効果測定を実施して、少しの変化とヒアリングを実施してツール導入の有無を検討してみてはいかがでしょうか?
最後に、ツールを導入しても、現場で面倒になってツールを利用せず、今まで通りの作業方法で進んでしまうケース。
単純に使い方がわかない、ツールの機能が理解できていない場合などは、再度教育やトレーニングをするなど実施するなど対処は可能ですが、ツールの利用しないなど変化を好まない場合などは、改めて、業務効率化を行い、DXを推進させる意義をお互いに擦り合わせる必要があります。
これらの様に、データ活用の前に、一般企業では大きくIT化の壁がそびえ立っているのです。
■ようやくスタート
ツールの導入などIT化による業務効率化も見え、データもできる限り取得しある程度溜め込み、ようやくDX推進のスタートラインに立てたと思います。
より一層、業務効率化を推めるべきか、新しい顧客の開拓や新しいビジネスモデルの模索など、どれを優先的に行うべきかここまでに、何かしら見えていると思います。
ここで注意すべきことは、他社の事例は、あくまでも他社の事例になります。そのまま適用できる事は極めて少なく、あくまで参考程度にして、自社なりのDXを具現化させるべきです。
基準の設定、効果測定ができる環境を用意し、Trial and Errorを繰り返し、自社にとっての最適なDXを求め推進してください。繰り返しになりますが、DXは「IT化による業務効率化」ではなく、『ITとデータ活用による企業のアップデート』になります。