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KPI改善の実例 スマホゲームの場合 その3

前回、前々回に続き、スマホゲームでのKPIの改善をテーマに進めてまいります。

■KPIの明確化による思わぬメリット

チュートリアルの改善を開発陣に提案し、システム的に可能な限り進めてもらいましたが、ここで一つ大きな変化がありました。

KPIの順位づけをした事により、開発陣がスムーズに作業を進められる様になったのです。

今まで、おぼろげに課題を意識して、それぞれに課題解決に進めていた様ですが、KPIの順位づけ、

今回の場合であれば、継続率の向上を目的としたチュートリアルの改善を最優先することを明示したことにより、

開発陣がマイルストーンを設定でき、それに伴い改善を行うチーム設立のためチーム改編が行われた様でした。

あくまでも、マーケティングのコンサルティングの立ち位置でチュートリアルの提案したのですが、

開発陣にとっては、目標設定を行うディレクションがキチンとされる環境になった様です。

■次なる改善

チュートリアルの改善が進み、翌日継続率が10%前半台だったものが、40%弱まで改善され、DAUの積み上げが出来る様になりました。

次に14日後継続率を25%前後を目標にUI/UXの改善を考えていました。

その時に足りないと感じていたのは、ゲーム中のエフェクトが弱く快感が少ない点、

ゲームの操作で画面中のボタンが小さく文字が読みづらい点などあげられました。

ですが、開発陣もその提案に対し、準備を既に進めていました。

エフェクトの改善は、提案した内容では工数が掛かるので、アニメーションの追加を検討しており、

UIに関しても、大きく変えるデザインを2〜3案作っていました。

なんと、既に自走していたのです。

単なる数字=KPIだったものが、KPIの順位づけから、KPIの連動性を認識し、自ら課題を見つけ出し、改善するサイクルができたのです。

もちろん、改善の概要を聞きましたが、指摘する点もなく、そのまま進め、14日後継続率の目標数値は軽々とクリアしました。

■プロモーション再開

ある程度1ヶ月後の継続率が改善され受け皿ができてきたので、改めて、プロモーションの再開を進めました。

コンサルティングとして携わる前に行っていたプロモーションは、

まさに不正広告が起きやすい状況で、広告費の回収が全くできていない状況でした。

しかし、せっかく継続率を改善して、まずは広告費の回収が見込める状況でしたので、

ここは慎重に代理店選定、広告手法、媒体の選定を行いました。
KPIツリーでの説明になりますが、継続率はストアからの流入に加え、広告からの流入が加わると大きく変動する可能性があります。

もちろん、継続率が伸びることもありますが、以前、行っていた広告手法では流入してくるお客様の質が著しく悪く、

継続率が悪化することは目に見えていましたので、より慎重に進めました。

KPI 2


今回、メインで採用したのがインフィード広告と呼ばれる手法になります。

インフィード広告とは、SNSやニュースメディアなどのフィードに、コンテンツと同様の広告フォーマットで表示される広告になります。
コアとなるIPのファンの年齢層が比較的高いのでSNSだけでなくニュースメディアへ確実にリーチするため、

そしてプロモーション再開にあたり、クリエイティブや訴求内容の精査を進めたかったので、

インフィード広告をメインの広告とし、そのフィードバックを他の広告手法に展開するイメージで進めました。
ここ最近の手法は動画広告になりますが、再開タイミングでの広告予算が小額のため、

クリエイティブの制作コストなどを鑑みると、時期尚早と判断しました。
そして、プロモーションも順調に進み、DAUの積み重ねができる体制になって1ヶ月後に、
KPIも目標数字に近づけることもできる様になり、ようやく成長軌道に乗ったことを確認できました。

課金施策を実施しても、DAUに影響することが少なくなり、

そしてコンサルティングとして関わって6ヶ月後にKGIには達していませんが、売上が20倍になり、初めて単月黒字化することになりました。

■最後に

よく「数字は各部門を繋ぐ共通言語」と言われますが、雑多な数字の羅列だけでは共通言語になりません。

その数字の意味を摺り合わせてKGIを頂点とするKPIツリーを示すことにより、ようやく共通言語として成立すると思います。

今回の事例は、ディレクター陣、開発陣の理解が高くKPIの順序づけにより、上手くゲーム運営を回転させることができました。

逆にディレクター、開発とのコミュニケーションが成立せず、失敗した例もあります。

失敗した例は、また、機会を改めて記すことができればと思います。