ツールと言えば広告効果の計測ツールであったり、SFAなどのCRMなどの営業管理、顧客管理ツール、DSP、SSP、DMPなども広告配信ツール、もっと言えば、SlackやChatWorkなどの社内SNS、SmartHRなどの人事労務、
GitHubの様なコード管理・レビュー、Sansanの様な名刺管理、wonderlistの様なタスク管理などなど、星の数ほど業務効率化ツールがあります。
様々なツールの中で、私が経験した、話に聞いた、マーケティングに関わるツール導入に伴うあるあるを纏めてみようと思います。
■ツールの導入の実作業
広告効果を測定するツールや、広告配信で掲載側で使われるSSPなどは、プロダクトに直接関わるツールはアプリであったり、既存のシステムに組み込んだりと、組込みや連携が必要になるケースが多いです。その場合、開発担当部署や情シスに、SDKなり仕様書を持って依頼するのですが、彼らは彼らの業務があるので嫌われる傾向があります。
この様な事態を回避する為に、プロダクトのプロデューサーやディレクターに事前に説明し、ツールの機能やメリット、運用方針など共有し、了解を得てプロダクト自体の工数を確保しておく事が必要です。SDKを仕様書を準備しておき、このタイミングで展開しておけば、工数や不明点の洗い出しができ、実装のタイミングでの問合せなどの手間が少なくなります。例え、ツールベンダーの担当者が「実装は簡単ですよ」と言ってきても、プロダクトとツールの相性もあるので、確実に確認してもらいましょう。
また、開発部門や情シスが簡単な代替ツールを作ってしまう事もあります。自社でツールを開発するのであれば、検討していた外部ツールでの最低限の機能であったり、運用方針、拡張性、コストなど付き合わせて、実際に開発するのかどうか検討しましょう。意外と、開発部門に相談すれば外部ツールを用いなくても、業務の効率化出来たり、簡単なツールを開発し、実際に運用し、再度外部ツールの導入検討を行えるかもしれません。実際に、私は何度か簡単なツールを開発部門に開発してもらい、外部ツールの導入コストを抑えられた事もありましたし、社内用のツールを外部に貸し出すなどビジネスにしているケースも多々ありますよね。
あと、海外製ツールでよくあるのが、仕様書が英語のみだったり、ツールベンダーのエンジニアが海外在住で、国内は営業もしくは運用担当のみで、技術的なやりとりが時差や言語が要因で、必要以上に時間が掛かる場合もよくあります。事前に、ツールデベロッパーの体制など確認しておけば、時差などは考慮が出来ますので、ストレスが少なくなると思います。
■とにかく時間が掛かる
現在の業務をこなしつつ、ツールの導入の調査からはじまり、資料を取り寄せたり、ヒアリングを行って、比較検討し決定まで至り、契約や与信を管理部門に、稟議を上長に承認してもらい、並行的に仕様書やSDKの確認を経てとなると、どれだけ早くとも、ここまでに1ヶ月、導入するツールや所属している会社の規模や体制によりますが、2ヶ月、3ヶ月以上掛かるケースもあります。これでやっと導入の準備が完了し、ツールの利用が可能になるのですが、広告効果測定やSSP、DMPなどの広告系のツールや、
SFAや、MA、CRMなどマーケティング系のツールなどは、タグやSDKの実装や、管理画面での対応が必要なケースが多く、キチンと、データが送れているか、また、その送信したデータと実際のデータとの整合性の確認であったり、計測のタイミングの確認。。。。などなど、実際にツールを動かして見ないと分からない問題点が出てきたり、また、データの蓄積が必要なケースも多々ありますので、実際にツールを用いて運用が出来るのは、数週間、数ヶ月先になる場合も十二分にあります。で、このツール導入の期間の長さが問題になると思います。まず、ツールの導入を志したタイミングでは、かなりモチベーションが高いですが、実際に比較検討、社内調整、実装、データ蓄積と数ヶ月経てば、必然的に下がります。
また、ツールを導入して、業務の効率化を目的にしていたものが、いつの日かツールの導入が目的になってしまっている場合があります。私自身も、自社メディアのプライベートDMPを立ち上げを検討していましたが、色々とヒアリングを行い、各企業に相談しましたが、最後に相談した企業の役員に、「今、伺った内容ではプライベートDMPの立ち上げが、目的になって、実際に立ち上げても何も効果が得られない」と釘を刺され、改めて、開発部門や、運用部門と検討し、一旦、プライベートDMPの立ち上げを凍結させました。時間が経つと目的がぶれる傾向にありますので、定期的に目的の再確認が必要です。
■本当に効率化できている?
各企業から、様々なツールが出ていますが、パッと見、魅力的な機能が色々と使え業務効率化や事業の拡大に繋がる様に思えます。ですが、そのツールが身の丈に合っているのか?実際に導入し、そのツールの機能をフルに使いこなし業務の効率化、事業の拡大に繋がるか?これらの事を改めて、一度考えてみましょう。とある企業で、あるツールを導入したのですが、全く使いこなす事が出来ていない状況がありました。いつか使うだろうとか、将来的使うだろうと契約しても、その「いつか」、「将来」はいつ来るのでしょうか。今、必要か?将来的に使うとしても、いつを明確にしてツール導入を検討してみてはいかがでしょうか。また、そのツールを運用する為に工数をキチンと取りましょう。
せっかく導入しても、使いこなせないと無用の長物になり、コストだけが掛かる状態になります。その為には、ツールの開発元の営業担当に、他社の運用事例など勉強会など開催してもらうのはオススメです。私の例で言えば、広告効果測定ツールで、今まで使用してきたツールとは別に、新たに導入したツールを比較しながら、何となくダッシュボードをいじりながら数ヶ月使ってましたが、改めて、ツールデベロッパーの担当者に使用方法を今までのツールと、新たに導入したツールを比較しながら、レクチャーを一から受け直しまし、取り寄せた資料や仕様書では見落としていた、計測の時間軸や、新たな計測基準など、スムーズに使い熟す事が出来る様になりました。特に、海外製のツールは英語などで表記や、曖昧な翻訳で分かりにくい場合もありますので、
ツールを導入しても、使いこなせていないと感じたら、改めて、ツール企業からレクチャーを受ける事をオススメします。
SFA/CRMなどによくあるケースですが、エクセルでの営業管理など、今までの管理方法からの移行が進まないケースもよくあると思います。ひょっとして現場の方々からすれば、ツールの導入が今までのやり方が否定されている様に受け取られているかも知れません。導入を検討する際に、導入検討する方と、使用者が異なる場合には、使用者を検討段階から巻き込んで、実際に効率化出来るのか?お互いの立ち位置を踏まえ、同意を得られる様に進める必要があります。
DMPや、様々な計測ツールを導入して、せっかくデータが出せても、それをどう分析していいのか、分析が出来ても、その分析結果を元に、どの様な施策、対策を打てばいいのか分からないケースが多いと聞きます。実際に、その様な状況のマーケティング担当部門は、他業務に忙殺され工数が足らなかったり、想定していたユーザー像と異なっていたりと、ツールとは関係ない原因が多い場合が多いですが、この様な時でも、ツールデベロッパーの担当に似た様な事例を照会してもらうと、何か解決の為のヒントがあるかもしれません。もっと言うと、その営業担当にコンサルティングしてもらえる様に調整しましょう。結局は、ツールを導入しても、それだけで事業推進や効率化が出来る訳ではなく、人が動かなければ意味がないケースが、AI化進んでいると言えども、まだまだあります。
■とにかく冷静に
上記の様な失敗を避ける為に、キチンと稟議書を書く事をオススメします。
惰性で書きがちになる稟議書ですが、本来、稟議書を通す為に、最低限記入すべき事は、施策実行の『目的』、 施策の『内容』、施策実行に必要な『費用』、施策によって得られる『リターン』、そして、施策を行った際に発生する可能性のある『リスク』を、簡潔に纏める必要があります。今回の場合、施策=ツール導入になりますが、色々な場面で情報の整理に使えます。ここで重要なのが、上のレイヤーや、管理部門などのバックオフィスの担当者にも理解して貰える様に記載する必要があります。数字を用いて比較しながら、ツール導入時のメリットやだけでなく、改めて稟議書を書く際に、ツール導入に掛かる費用や、導入までの工数など、様々なリスクを考えましょう。
新たなツールと出会いテンションが上がる事もありますが、比較検討や、稟議書を書くタイミングなど要所要所で、改めてツール導入を考えましょう。ツール導入を否定する訳ではく、自分の中にツールを用いて、事業推進、効率化を意識出来るか確認してください。平たく言えば「ツール導入は冷静になれ」です。